Novel "創造主"

小説「創造主」は2000年に執筆・投稿された駆様の作品です。
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『創造主』 ―第1章 冒険の始まり―

 ここは創造主が治める世界…トティア。
 創造主によって造られた大地。
 このトティアでは今、とても深刻な問題が起こっていた。
「あぁ…私たちはどうすればいいのだ……」
 おちつかぬ様子で椅子に座っている男が1人、賢者らしき者たちに懇願のまなざしを見せている。
「どうすると言われても…手がかりが何もないわけですから…」
「しかし大変な事になったものだ…今回ばかりは私たちもお手上げだ……」
 2人の賢者が顔を見合わせながら、深いため息をつく。
 深刻な問題とはつまり、『創造主が行方不明になった』ということなのだ。
 この問題は王宮内の者しか知らない。
 市民にしれれば、たちまち大パニック状態に陥るだろう…。
 『創造主が死んでしまうと世界は破滅する』のだから…。
 行方不明といっても王宮の外(つまりこの世界のどこか)にいるのだから死んでしまう危険性が高い。
 王宮内には暗い雰囲気が漂っていた。
「失礼します、大佐に会いたいという者が部屋の外で待っているのですが…どうしましょうか?」
 と突然、1人の兵士が敬礼をしながら部屋に入ってきた。
「私に会いたい者?…まぁいい、入れてやれ」
「わかりました」
 そして兵士は部屋の外で腕を組み、退屈そうに待っている男を部屋に入れさせた。
「失礼しま~す」
 と陽気な声を出しながら入ってきたその男。
 肩にかかるくらいの髪を後ろで束ねた身長は170~175cmくらいの男だった。
 歳は…20か21といった頃か…まだ若い青年だ。
「用件は何だ?私たちは今、とても重要な会議中なんだ…用がないのなら出て行ってもらおうか…」
 王宮内の人間は創造主のことでピリピリしているせいか、少々冷たい態度をとっていた。
「いやぁ~、何、あんた達今困ってるんだろう?創造主が行方不明で…」
“なぜそれを知っている?”といった表情で、会議室内の人物たちの顔が青ざめる。
「ははは。大丈夫だって、そんなに青ざめなくても。このことを知ってるのは俺だけだよ」
「なぜお前は創造主が行方不明<このこと>を知っている?」
「まぁ、いろいろあってね」と男はニヤリと笑う。
「それよりさ、あんた達俺を雇わないか?
 俺でよかったら必ず創造主を見つけてやるぜ!どうだ?」
 室内の空気は、よりいっそう重くなった。
“果たしてこんなやつに任せられるのか”、“あんな奴を信じるのか”、などといった声が飛び交っていた。
 そんな声が聞こえようとも、男はニコニコ笑っている。
 よほどの自信があるのだろう――。
「ここでじっとしているよりはマシじゃないでしょうか?」
 と1人の賢者が椅子から立ち上がり、室内にいる者の顔を見回している。
 しばしの沈黙……
 そして、大佐と呼ばれた男も立ち上がり
「よし、お前に任せてみよう!!(内心、本当はあまり任せたくはないが…)」
 と、男の肩をポンとたたいた。
「よっしゃぁ~!任せておいてください!! 必ず創造主を連れて帰ってきます!!(時間はかかるけど…)」
 胸をグーでポンとたたきながら、自身満々の表情を浮かべている。
「あ!そうそう。 俺は傭兵のルナ・エクリプス!」
 室内の人間は驚きの表情を浮かべた。
 見た感じ、とても弱々しそうな体格だったからだ。
「でさ、ちょっと頼みがあるんだよね~仲間が欲しいんだけど…いい奴いないかな?」
「それなら2人ほどいますが…」
 と言いながら、兵士にここに連れて来るよう命令した。
 そしてルナは王宮の門の前に行き、仲間を連れてくる兵士を待っていた。
 しばらく待っていると、賢者と新しく仲間になる2人が現れ
「この2人です」と賢者は言いながら彼の紹介を簡単に始めた。
「向かって右がアーチェリー。武器は弓。彼女は女の子だが、そこら変の男よりは役に立ちます。
 そして、向かって左がティーン・エイジャー(男)。武器は銃〔ピストル〕。
 そういえば…ルナ様は武器をお持ちになっていないようですが…」
 と、簡単に彼らの紹介を済ませた賢者が尋ねた。
「俺の武器?武器ならちゃんとここにあるゼ!」
 腰に手を伸ばし、布にくるまった重そうな大剣を片手で持ち、ルナは賢者の方に剣先を向けた。
「心配するなって! なぁ?アーチェ、ティーン」
「おもしろい人だね」
 と笑いながら言う少女アーチェリー。
「気安く呼ぶな…」
 と少し気難しそうな少年ティーン・エイジャー。
“これから創造主を探しに行くのに、こんな調子で本当に大丈夫なのか…”と胃を押さえながらため息をつき、
“今後悔しても後の祭りだ…”と開き直る賢者。
 賢者はルナたちを見送り王宮内へと戻っていった。
 そして、ルナたちの楽しい(?)冒険への扉がひらかれたのだ。

To Be Continued…