Novel
闇夜の武闘会-0《ラブ》=デス・ゲーム

 暗黒街地下に闘技場がある。
 特別な時だけ使われる戦場というヤツだ。
 ある夜、その闘技場が使われることとなった。
 一対一の殺し合いが行われるのだ。
 生きるために必要な、0=デス・ゲームという遊戯が。

 男が暗闇の中で目を覚ました。
 ジーパンにシャツ一枚、シャツには血液が付着している。
「此は、何処だ?」
 光など無い。閉鎖空間。

 扉が開かれ、光が漏れた。
 男は何者かに背を押され、光の奥へと出た。
 光の奥は熱気が立篭める闘技場だ。
 観客達が男を見つめた。
 男の名は『バーナード・シーカー』、名の知れた武道家である。
 仮面をつけた男が叫ぶ。
「紳士、淑女達よ。よく此に集まってくれた。今宵、始まるは…一人の男が命を賭けて闘う、
0=デス・ゲームだ。楽しんでいってくれたまえ」
 観客が拍手する。
 レオナルドは状況を理解した。
(オレは、拉致されて…見世物にされるのか。上等だ…)
 レオナルドは自分の置かれている状況を理解してなお冷静であった。
「さて…幕開けに相応しい闘いだ。『闘王』の異名を持つレオナルド・シーカー、対するは『死神』だ!」
 仮面の男が言い終えると、レオナルドと対になる扉が開かれる。
 開いた扉から現れたのは黒ローブを羽織った、性別不明の死神と呼ばれる者だ。
「死神と戦場の死神、どちらが上手かね?」
 戦場の死神、レオナルドは苦笑した。
 死神は無言だ。
「ベット(賭け)はすでに終わっている。ルール無し、何でもありのデス・ゲーム、開始だ!」
 死神が先に動いた。
 対するレオナルドは拳を構える。
 刹那、レオナルドが死神のローブに手を掛けた。
 攻撃する気など無い。死神に殺気は感じられなかったのだ。
 ローブから顔を出した死神は、女性であった。
 レオナルドにはその顔に見覚えがある。
 『アンドレア・シーカー』、レオナルドの最愛の妻である。
「アンドレア、なのか?」
 アンドレアは反応しない。人形のように。
 アンドレアが動いた。ナイフを取り出し、レオナルドへと突撃したのだ。
「アンドレア、やめてくれ…オレだ、レオナルド・シーカー。君を愛する夫だ」
 レオナルドの声はアンドレアに届かない。
 レオナルドがアンドレアを避ける。
 そして、考えた。『何故このような状況になったのであるか』を。
 事は前夜、人の少ない道で交通事故が起き、一組の夫婦が姿を消した。
 有名な武道家であるレオナルド・シーカーとその妻、アンドレア・シーカーである。
 レオナルドにとって暗黒街地下闘技場は元々の住処。
 下等なデス・ゲームを幾度もさせられ強くなる。
 裏を生きていく者としての宿命でもあった。
 レオナルド・シーカーは孤児で、パンを盗み生活していた。
 齢、10歳にして暗黒街へ。
 天性の武道家は孤児の仲間を作り、仲間と一緒に資産家に拾われる。
 暗黒街に足を踏み入れた宿命、レオナルドと仲間は小さくして殺し合いをしなければならなかった。
 自らの手が血に穢れるのを見ながら強くなり、普通の生活という物に触れたのは16歳であった。

 レオナルドは、向かってくるアンドレアに手を掛けていた。
 無意識の内に愛する者を自らの毒牙にかけていたのだ。
 レオナルドは愛する者の血に染まる自らの手を見て叫んだ。
「アンドレア、嘘だろ? …アンドレア!!!!!!!!」




劇 終


あとがき

2001/04/20に書いた、初めてのSS(駄文)。
 今見ると、名前ばっかだし、本当、駄文だと思います。(爆死)