Novel "創造主"

小説「創造主」は2000年に執筆・投稿された駆様の作品です。
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▼あらすじ▼
次の創造主になることを決意したルナ。
翌日、お城へと戻る事になった。



『創造主』―最終章―創造主―
無事、城に戻ってきたルナ達は、城の中へと入っていった。
「ただ今帰りましたぁ!!」
ルナの声は城内に響き渡った。
「誰だ!勝手に城の中に進入した奴は!!」
警備兵らしき男がルナ達の方へ走ってきた。
「何だ?お前ら…何か用があるのなら…」
そういった瞬間警備兵は絶句する。
白い衣を身に纏った、金色交じりの茶色い髪の毛、透き通った青い瞳…。
そこにいたのはまさに創造主〔アース〕だった。
「あ…あーーーーー!!大変です!!大佐ぁーーーーー!!」
「何だ?騒がしい…」
大佐と呼ばれた男もルナたちがいる方へ歩み寄ってくる。
「お前は確か…1ヶ月前くらいに雇った傭兵の…」
「そう!ルナ・エクリプスだよ」
「なるほど…創造主を連れ戻してきたというわけか…本当、君に任せてよかったよ」
とルナの背中をバンバン叩きながら笑う男。
「取り込み中悪いが…アジェスト、大至急市民を門の前に集めてくれないか…」
「市民を?一体何をなさるおつもりですか?」
「……いいから、集めてきてくれ…」
「分かりました」
アジェストと呼ばれた男(大佐)は兵士たちに、大至急市民を集めるように命令した。
「創造主、市民をあつめて参りました」
「ごくろうだった。さて……ルナ、行こうか?」
「…ん?あ、あぁ…」
アースは城内から城門を見下ろせるベランダのような所に立った。
「今日は貴方たちに知らせがあって集まってもらった
私の名はアース・マリオネット。
この世に幸せと災いをもたらす創造主〔モノ〕。
どうやら私の命もそう長くはない。
私が死ねばこの世界は消滅するであろう――
そこで今回、新しく創造主となるものを選ばせてもらった。
純粋な心を持った青年…。彼の名は――"ルナ・エクリプス"きっと悲しみも苦しみもない世界を創りあげてくれるであろう」
アースはルナを見つめ、微笑んだ。
アースが初めて笑った日…最初で最後の微笑み。
城門前にいる市民たちは静まりかえっていた。
「みんな!聞いてくれ!!」と突然ルナは口を開いた。
「俺は今まで、たくさんの人を殺めてきた。城に反抗するものや盗みをした者……たくさんの命をこの手で殺めてきた…
しかし俺はもう、俺の目の前で死んでいく人たちを見たくはないから…俺は傭兵としてじゃなく、創造主として今を生きていこうと思う!
俺は創造主になってこの世のあらゆる悲しみや憎しみを取り除いていこうと思う!!こんな俺が創造主でもいいのなら…何か合図をもらえると嬉しい……」
ルナの言葉に、いや、ルナの心に市民たちは心から拍手を贈った。
ルナの瞳からは大粒の涙が零れていた。
「ルナ・エクリプス。今より汝が新たな創造主となることを認められた。
その耳でこの世の者たちの声を聞き、その心で共に喜び、時には悲しみ…この世界を平穏な世界に創り上げていくがよい。今、汝の胸に創造主の証を…!」
ルナの鎖骨付近には紅く輝く創造主の証が埋め込まれた。
これが創造主の証、これが創造主になるための儀式…
ルナは静かに瞳を開いた。
ルナの瞳には床に横たわるアースの姿が飛び込んできた
「アース!!」
「ルナ…私が普通の女の子だったら…ルナに創造主なんてやらせなくてよかったのに…ルナに…つらい思いをさせなくて澄んだのに…!ゴメン…ね」
「……アース…」
「私…寂しくなんかない…私は地球、貴方は月。いつもそばにいて貴方の事を見守ってあげられる。
ずっと…近くで…見守ってあげる…寂しくなんか…ないよ。私を…ずっと…照らしつづけてくれるから……」
「…アース!!!!」
アースは静かに目を閉じて、まるで眠っているかのように息をひきとった。
とても穏やかな表情で――
ルナはアースの白く冷たい手を握り、心のそこから願った。
「どうか、アースが幸せになれますように…。今度生まれてくる時は普通の女の子で…」
ルナ、21歳の春、暖かい陽気が照りつけるなか、アースの身体だけはとても冷え切っていた…

そして3年の月日がながれた…
「ルナさ~んvv遊びに来たよぉ~~~!!」
元気な女の子の声、アーチェリーの声だった。
「まさかお前が創造主になるとは…考えてもみなかったな…」
いつも無表情で何かと突っ込みを入れてくるティーン。
アーチェはことしで18歳、ティーンは今年で20歳。
この気のあいそうにない2人は来月結婚する。
「いや…俺はお前たちが結婚する方が以外だった…。お前たち全然気があいそうにないのにな…」
ルナは腕を組みながら頷いた。
ルナは創造主になってしゃべり方も変わってしまった。
変わってないのは陽気な性格と姿くらいだ。
「しかし、みんなが幸せなら、俺はどうだっていい」
やはりルナは陽気な性格が一番いい!
「俺は必ず、この世界を変えてみせる!!俺は『創造主』なんだ!」
そしてこれから世界がどう変化していくのかは…
  別のお話vv


―創造主 終―
本編は終わりましたが「番外編」をお楽しみに!!!